利食い腰を強く、上げのうちの下げ相場は非常に難しく、思い込みが激しいと完全に思い違いをしても気がつかない事が多いものです。完全に思い違いから大きな損をしても「運が悪かった から」「相場が悪いから」と言う事で済ませてしまう事もあります。自分が間 違えていないかどうか良く考え、間違えていたらすぐに修正し、二度と間違え ないようにしたいものです。相場も仕掛けのタイミングや投資方法、相場付き によっても違い、一つの方法だけを知っていても駄目な時があります。自分の 経験を糧に相場に活かしたいものです。 「底を見極め買い付け、余程の利分付き候節、相場、保ち合い候か、又少々 引き下がる事あり。その節利足勘定等致し、先達上げの節売り返さざるを思う 事あり。はなはだ心得違いなり。底を買い出す時は落ち引きなき前に、決して 売らざるものなり。底の買い引き上げ、落ちになる迄買い重ぬるものなり、心 得べし。」 「底を見極めて買い、かなり利が乗ってきたような時に保ち合うとか少し下 がるような事がある。そういった時に信用取引の金利なども考え少し前の高値 で売っておけば良かった、と思うものです。でもそれは間違いです。底値近辺 で買ったのだから底割れしない限り決して売ってはいけません。底値で買って 上がっているのだからむしろ買い乗せをするべきである。」と言う意味です。 どういう時に買い乗せするべきかを言っているのですがなかなか的を得ていま す。「利食い千人力」とも言いますが、利を伸ばすのもまた大切な事です。い くつかの銘柄を保有している時に利益の出ているものから売ってしまう場合が ありますが、そう言った時も買い場とそれぞれの相場も良く考えて利食いする べきだと思います。どうしてもお金が必要な場合でも損切りの方が良い場合も あるのではないかと思います。 「新米出初め、一、二俵方も高下あり、底にて保ち合い、五~六十俵位も景 気付き、又二俵余引き下げ、保ち合うことあり。この相場、買い方は退屈し、 売り方は益々売り募るなり。この米決して売らざるものなり。売り方はここに て買い返すべし。この米、底より起き上がる米なり。上げの内の下げなり。す べて天井値段の時節を考うること第一なり。」 「新米の相場で(米相場の話なので6月あたりに新米の相場が立ち始めるよ うです)上げ下げした後、底値で保ち合い、その後上昇した後、少し下がって 保ち合いになることがある。こういった相場であると買い方は退屈し、売り方 は益々売りたくなってくるものである。この時は絶対に売ってはいけない。も し売っているのであれば買戻すべきである。この相場は底値から上昇してきた 相場で上昇トレンドの中の調整場面である。よく、天井の値段や時期を考える べきである。」と言う意味です。相場の転機にありがちなもので大底からの上 昇を単なる戻しと考えるか、上昇相場の始まりと捉えるかの違いがあると思い ます。長い事下げ続けた相場であるとか、三段下げの終了後は注意が必要です。 二段上げ、三段上げの途中の調整であれば、「初押しは買い」と言う相場格言 が生きて来ると思います。 |